もくじ(はじめにお読みください)

このたびは私、みずきとその愉快な仲間達が織りなす『終わりの見えない物語』にお越しいただき誠にありがとうございます。

このページは『もくじ』となっております。

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2014→2015:みずきの年回- folicのブログ

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2011→2012:みずきの満足 - folicのブログ

2010→2011:捜索中(持ってる方は連絡下さい)

2009→2010:年賀メール - folicのブログ

あたり日記:2006年1月1日

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【2006年1月1日(日)】


Caine「は~い皆さん、年明けですよ~。大丈夫ですか~?」


平等院「大丈夫。」


美月「大丈夫。」


風「大丈夫です…にゃ」


榊原「大丈夫ですよ。」


窒素「そーなのかー」


Caine「…よーし、無事に年を変えられたね。」


窒素「そーなのかー」


Caine「みんな、どうだった?」


平等院「まあ…特に問題はなかったけど」


美月「…私も」


風「…にゃ」


Caine「まあ、こんなもんだよ。こんなことを毎年やってもらいたいわけ」


榊原「…なるほど」


Caine「年越し前とか年越しとかは談笑してていいし、時間が許せば。協力してもらえる?」


榊原「もちろん構わないよ」


美月「…大丈夫です」


平等院「…あ、ああ、いいよ」


Caine「まあ、今回は一回目だし、談笑することも無いよね。解散で良いかな?話すことがあれば別なんだけど…」


平等院「……」


美月「……」


榊原「……」


榊原「……じゃあさ」


Caine「ん?」


榊原「みんなさ、『辛酸』って知ってる?」


美月「…辛酸?」


平等院「辛酸って、あの、『辛酸をなめる』とかって言う、あの?」


榊原「そうそう。辛酸は酸性の化学物質で、舐めると辛いんだよ」


平等院「は?」


榊原「化学式はKRaI。1899年にピエール・キュリーが歯磨き粉と間違えてラジウムを口に含んだ事が発見のきっかけだよ」


平等院「いやいや、辛酸は化学物質じゃないでしょ」


榊原「何を言っているんだい、実在する化学物質だよ。さっき君も認めたじゃないか」


平等院「いや、あれは…」


Caine「平等院君、これに反論するようでは君は修行が足りないよ。ここでは彼が定規だからね、彼の言うことに反論するのは叛逆的だよ」


榊原「コンピュータ様の仰る通りですよ!やっぱり貴方は修行が足りませんね」


平等院「えええ…」


風「…にゃあ」


榊原「私から言うことはこの位ですね。他に何かなければ解散しても良いのでは?」


Caine「そうね。じゃあ、みんな良いね?よし!(パンッ)解散だ!

あ、そうだ、解散の前に。

皆に”Deity-sized portals”を一人一つずつ配っておくね。

これは皆をここに吸い込んだ時に使ったportalの小型携帯版だよ。

ここから皆が帰る時と、一年弱後にまたここに来る時の二回分の、往復にしか使えないから、なくさないように大事に保管しておいてね。来年になったらまた新しいのあげるからね」


榊原「Deity-sized portals(神の大きさのポータル)?普通のportalsより小さいのに、神の大きさなの?」


Caine「お米一粒には千人の神様が詰まっている、と言うでしょう?神様ってのは案外小さいものなのよ」


榊原「なるほど」


平等院「は、はあ…」


Caine「あ、あとここの場所を教えておくね。ここは北緯36度59分1秒、東経138度49分13秒、標高296m付近。だいたい新潟県南魚沼付近だよ。あと、今渡したDeity-sized portalsは、この建物の横にテレポートするようになってるから、次からはこの建物の、ここ、322号室まで上がってきてね」


榊原「ここ、新潟県だったのか…」


Caine「じゃ、改めて解散しましょうか。

最後はみんなで、Happy New Year!って言いながら一斉にDeity-sized portalsを使いましょう」


風「それじゃあみんな、さよなら」


Caine「Happy New Year.」

榊原「Happy New Year~」

平等院「Happy New Year…」

美月「Happy New Year!!」

窒素「Happy New Year?」

風「Happy New Year―」



ーーーーーーーーー


美月「………」


榊原「………」


美月「ポータル、使わなかったの?」


榊原「…貴方こそ」


美月「…なんか、ああ言う時って使うと見せかけて使わないもんだと思ったから」


榊原「…私も、ですよ」


美月「…でも、私達だけですね、使わなかったの」


榊原「…そうですね」


美月「…ふふ」


榊原「…ふふふ」


美月「…なんだか気が合いそうですね、私達。折角だから、ちょっと外に出て見ませんか?」


榊原「…ふむ。そうですね、いい考えです」


ーーーーーーーーー


美月「うわ、さむー」


榊原「寒いですねえ、新潟だからね。雪が積もってる。今は止んでるみたいだけど」


美月「わー、星が綺麗だね」


榊原「そうだねー。ポラリスでも探してみる?」


美月「ねえねえ、榊原さん、だっけ、かなり若そうに見えるけど、何歳?」


榊原「ん?10歳ですけど」


美月「ええ!?私と同い年!?じゃあ、じゃあ、小学四年生?」


榊原「ん、そうだよ」


美月「誕生日は?」


榊原「11月28日」


美月「ええー!私11月21日だよ!

誕生日一週間しか違わないんだね!」


榊原「一週間も違う、と言う見方もできるかもしれませんけど」


美月「いやー、それにしても、アロンソ・キハーノだの伝説の騎士だの、すごそうな自己紹介してた割に私と同い年とはね!びっくりだよ」


榊原「伝説の渋面の騎士ね!それは本当だよ!」


美月「はいはい。やっぱり、貴方、面白いわ!私と気が合いそう」


榊原「そ、そうですか?」


美月「じゃあさ、ちょっと暗号解いてみない?」


榊原「暗号?」


美月「そ、暗号。こないだ作って私の友達に出題したんだけど解けなかったみたいでね。どう?解いてみない?」


榊原「ほう、どれどれ、ちょっと解いてみようか」


美月「ちょっとまってねー…

『1-24-13-10-56-16-104-56゛-112-4』

これでどうだ!」


榊原「…ふーむ…」


美月「…どうかな?」


榊原「………………………あけましておめでとう、かな?」


美月「おお!当たりだよ!どうしてわかったの?」


榊原「この手の暗号は大体一つの数字で一つの平仮名で、それで母音と子音に分解して考えるものなんだよね。」


美月「それで?」


榊原「それで、数字にはやたら偶数が多いし、2を多く素因数に持つ物が多い。それで、2をいくつ素因数に持つかを考えたのさ。そうしたら、おそらく、ア段は0個、イ段は1個、ウ段は2個、エ段は3個、オ段は4個、2を因数に持つようになってるんだろう。

それで、アカサタナハマヤラワに1,3,5,7,9,11,13,15,17,19を当てはめて、母音と子音の積を平仮名に該当させてるんだろう?そうすれば、あけましておめでとう、と読めるわけさ」


美月「……正解だよ。完璧に正解!まさかここまでパーフェクトに正解してくれるとは思わなかったよ!やっぱり貴方とは気が合いそうだなあ!」


榊原「ふふ。そうですか?


私もそう思いますよ。」




美月「あはは。


私、貴方となら良い友達になれそうだなあ!」



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A「いやー、まさか貴方があの暗号を、それも完璧に解いてくれるとは思わなかったよ!びっくりしたなあ」


S「まあ、私もあれは自分でも驚きましたね」


A「あの、322号室に始めて行ったのもあの時。

貴方や、他の皆と始めて出会ったのもあの時。

あれから毎年、貴方や、他の皆と、あそこで一緒に年を越したの、すごく、すっごく、楽しかったなあ。


本当に、楽しかった。」


S「…そう…でしたか。」


A「………………………」


S「………………………」


A「………私ね、」


S「ん?」


A「私ね、本当はあの322号室とさよならしたくないなあ。

お別れしたくない。

あそこで二度と皆と年を越せないなんて、そんなの嫌だよ。


ごめんね、



私、




貴方と一緒に、





皆のところへは行けない。







S「………え?」




S「…いない…」


S「あいつ!失踪しやがった!

この急いでる時に!」


ブーッ ブーッ


S「…なんだ?電話?」


S「はい、もしもし」


H『もしもし!もしもし!にゃ!』


S「あ、ああ!?どうしたの?」


H『コンピュータ様が、市民IDEALが失踪したみたいだ、って言うから、市民DEVELOPINGの携帯電話を借りて電話しろって…!』


S「ええ!?なんでコンピュータ様とか市民DEVELOPINGが電話しないのさ」


H『コンピュータ様はコンピュータ様だから通話は出来ないって、市民DEVELOPINGはいまちょっと、私のせいで幸福語しか話せないから…私しか話せる人がいなくて…!』


S「ええ、なんだか状況が想像出来ないけど、わかったよ、それで?要件は?」


H『えと、コンピュータ様曰く、市民IDEALが管制下から外れた?そうなので、市民IDEALをこれから捜索するそうです』


S「はあ、またかよ、世話の焼ける奴だな全く」


H『市民MEASUREさんは引き続き電車でこちらへ向かっていて欲しい、ということです』


S「電車乗ってるのもお見通しって訳ね…

待って、そんな悠長なこと言ってたら年明けるまでに市民IDEALが見つからないよ!」


H『それは対策を講じるそうです、なんでも時間の流れを遅くさせるとか』


S「ほう?」


H『ほとんど文字通りの意味です、世間的には年越しを迎えるでしょうが、まだ年越しにはなっていません。22時か23時か、そこらです。それで時間稼ぎをしているうちに、市民IDEALを見つけ出します。

でも、貴方はそのまま電車に乗ってこちらへ向かう位しかすることはないらしいです、貴方の乗っている電車はとても時間に正確なので、時間の流れを遅くすれば到着もそれだけ遅くなります、だから貴方は年が本当に明ける位の時刻にしか、こちらに到着することはできません』


S「……なるほど」


H『それでは、私は捜索に協力するので、この辺で話を切り上げますにゃ。ごきげんようにゃ!』ぷつっ


S「……にゃ?」


S「…まあいいか」


S(それにしても全く、また失踪するなんて…世話のかかる奴だ。それで私は電車に揺られていることしかできないなんて…暇だなあ…)


S(…気持ちはわかるけどね。私だって、皆と過ごした322号室を離れるのは嫌だ。他の皆はどうだかわからないけど…)


S(…まあ、仕方ないか。色んな意味であいつは理想的だからなあ…)


S(…さっきまであいつが話してくれた昔話、あいつから話されなくてもほとんど私も知ってるんだよね。前にあいつから聞いたり、実際に自分が立ち会ったりしたから)


S(何を隠そう書記係だしね、私。昔の話なんて一人でもできるんだ)


S(…どうせ暇だからなあ…あいつは失踪しちゃったけど…


……昔の話の続き、一人でさみしく続けますかね)



『ーーー次は、本庄早稲田本庄早稲田、です』



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前編、おしまい。

つづく。

つづき:1月上旬中には公開予定

あたり日記:2005年12月31日

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【2005年12月31日(土)】

 

今日は何を隠そう大晦日!なんだけど…どういう訳か皆の都合が悪いみたい…パパもママも仕事の都合で今夜は帰って来られないみたい。柚樹は保育に預けられちゃったし、けーじは一家で旅行に行っちゃったから、この大晦日は私一人で過ごすわけだ。まあ仕事なら仕方ないかと思うけど…大晦日くらいのんびりできてもいいのにねえ。

まあ、暇だし、紅白歌合戦でも見ますかね…お、今年の司会はみのもんたさんか…

 

のんびり、ぼーっと、テレビを見ながら今年一年の出来事に思いを馳せる。なんだかんだ言っても、結局幸せな一年だったなあ…

 

突然、私は、入っていたこたつから出た。

 

…?

 

なんで私はこたつから出たんだろう。

理由がわからない。

 

私は、『何故か』こたつを出て、『何故か』洗面所を目指した。

 

洗面所に入ると、私は入口の扉を閉めた。

…なんで私はこんなことをしているんだろう。寒いなあ、早くこたつに帰りたい。わたしは わたしのいしにはんして じさつこういを はかった。

 

そのとき!

 

目の前の鏡に変化が起こった。鏡面が消滅し、中央に赤橙色の大きな『丸』が出現したではないか!

 

その丸の中は、赤橙色に揺らめいていて、そこが見えない。

 

突然、その丸は私を吸い込み始めた!

 

なんだ、どういうごとだ、これは!

 

よみの くにへの きっぷを てにしてしまったというのか!

 

まほうの ゲートを ひらいてしまった!! 

かっ からだが すいこまれるー!! 

 

 

 

ー P o r t a l ー

 

 

 

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美月「…ここは…」

 

??「やあ!いきなり吸い込んでごめんなさいね。申し訳ないけど、貴方達にはこれから毎年協力してもらうわ」

 

??「おい!なんだか赤いのに突然吸い込まれたぞ!どうなっているんだ!」

 

??「これは…Portalかな?Portalのではなく、Cookie Clickerの」

 

??「色々説明したいのは山々なんだけど、まずは自己紹介をしてもらえるかしら。互いの名前がわからないと何かと不便でしょう?書記にも支障が出るし」

 

??「はあ?あんた、いきなり何を」

 

??「いや、私はその意見には賛成ですね。まずは自己紹介をするべきでしょう。それが定則。

でも、自己紹介を求めるならまずは貴方が自己紹介するべきじゃないかな?」

 

え?何、この状況。

 

??「おっと、これは失礼。確かにその通りですね。」

 

Caine「私の名前は…そうだな、Caineとでも読んでもらいましょうか。この度、新しい年回移行係に任命された…と言ってもわからないか、これについてはおいおい説明するよ。まあ、とりあえず、私は…一種の神様のようなものだと思ってくれたまえ」

 

??「は?神様?」

 

??「ほう、神様ですか。それはそれは、凄いですね」

 

Caine「まあ、それなりに凄いですよ」

 

榊原「じゃあ次は私が。私の名前は榊原Å一二三(さかきばらおんぐすとろーむわるつ)…いや、アロンソ・キハーノとでも呼んでくれたまえ。又の名をDon Quixoteと言う、人呼んで伝説の渋面の騎士さ」

 

??「は、はあ…」

 

美月「へぇ…」

 

Caine「ふうん…」

 

榊原「さ、私の自己紹介は終わったよ。次は君でもどうぞ」

 

??「は!?俺!?ていうかお前の自己紹介あれでいいの!?」

 

榊原「いいんだよ。自己紹介は簡潔なほど優秀だ。時間は限られているんだ、早く自己紹介を済ませたまえ」

 

平等院「わ、わかったよ…。

俺の名前は平等院 優佑(びょうどういん ゆうすけ)、15歳、ただの高校生だよ。これでいいんだろ?」

 

榊原「いいね。まあまあ優秀だ。

じゃ、最後に、そこの君、どうぞ」

 

美月「え、わ、わたし…。

えと、当 美月(あたり みづき)です。

10歳です。よろしくお願いします」

 

榊原「なるほど、当さんね。

これで我々は皆自己紹介が終わった訳だけど。なんだかその辺に奇っ怪な輩がいるみたいだね。そちらの紹介をしてもらいたいのだけど?」

 

??「そーなのかー」

 

Caine「ああ、こいつらね。まずはこいつ、こいつの名前は窒素 酸素(ちっそ さんそ)。空気みたいな奴だから、空気のごとく気にしなくて良いよ」

 

窒素「そーなのかー」

 

美月「へ、へー、そうなの…」

 

Caine「うん、そうなの。それと、こっち。こっちは、傘雲 風(かさきの ふう)。あまり話し慣れてないけど、よろしくね」

 

風「…よろしく」

 

美月「…よろしくね」

 

Caine「さて。では皆をここに集めたわけを説明しよう」

 

榊原「そうだそうだ」

 

平等院「話の邪魔をしてやるな」

 

Caine「ありがとう。まずは私の正体から。

皆さんは、あらゆる物には神様がいることは知っているかな?」

 

榊原「八百万の神とかそういうのですか」

 

Caine「まあそういうのですね。平和の神様や戦争の神様と言った遥か昔からいる神様もいれば、人工衛星の神様やエアコンの神様と言った比較的若いのもいる。

エアコンの神様はこないだ誤って人間に接触してしまったみたいですけどね、接触した人間の記憶は操作されて、夢の類だと思って頂きました。ただ、その一部始終は星新一という小説家に小説にされてしまいましたがね」

 

平等院「はぁ。で、貴方は何の神様なんですか」

 

Caine「それは秘密にさせて貰うよ。ただ、そうだね、私は1945年秋に生まれ、1946年2月14日に御披露目された、と言うことだけは言っておこうか」

 

平等院「は、はぁ…」

 

Caine「そして、今、私は『世界中に普及している、あるもの』だよ。この条件を満たす者が、さっきも説明した『年回移行係』に選ばれる。

少し前までは蒸気機関の神様が年回移行係をやってたんだけどね、こう言っちゃ可哀想だけど蒸気機関はもう廃れちゃったからね。

代わりに、今世界中に普及している私がこの度年回移行係に選ばれたと言うわけだよ」

 

窒素「そーなのかー」

 

榊原「ふーん、貴方の正体が少しつかめて来たぞ」

 

美月「そうなの?」

 

Caine「説明を続けるね。それで、貴方達には年回移行係の手伝いをしてもらいたいんだけど…。

まずは年回移行係の説明をしないといけないね。

まず、年の変わり目に何が起こっているか。

一年の終わりには、その年が老朽化し、崩壊し、森羅万象の全てのものの繋がりが切り離される。大地を洗い流す大雨が訪れ、世界は更地にさせられる。

だから、その大雨を乗り越えるための方舟を用意しなければならない。森羅万象を一時的に退避させ、年越しの瞬間の大洪水をしのぎ、それが去れば退避させた森羅万象を世界に戻し、再結合させる。ちょうど年賀状が人々の人間関係を再結合させるようにね。そのための設備が、ここ、『Pの楽園』にはあるよ」

 

平等院「な、なんかすごいね」

 

窒素「そーなのかー」

 

Caine「正確には退避と言うよりバックアップなんだけど。まあ、その辺は別に良いよね。

でも、これは私だけでは実行できない。だから、貴方達の力が必要なんだ」

 

榊原「ははあ、事情を理解しました。なるほどね。

じゃあ、貴方はコンピュータ様で、

さしずめ私達はトラブルシューター達と言うわけですね!」

 

Caine「!そうです!物分りが良いですね、市民!」

 

榊原「コンピュータ様!幸福です!」

 

美月「な、なんの話?」

 

榊原「パラノイアというTRPGがあってだね…」

 

Caine「まあまあ、そんな話は後でも良いでしょう。まずは貴方達に『役割』を与えたいと思います。」

 

平等院「役割?」

 

Caine「そう、役割。

まずは、そこの貴方。」

 

平等院「俺?」

 

Caine「そう、貴方。

貴方には、『発展途上(Developing)』の役割を与えるよ」

 

平等院「発展途上?」

 

Caine「そう。世界は発展を続けるべきだ。

貴方はみたところ、まだまだ修行が足りない。おそらく、この場にも一番馴染めていない。

それでいて、貴方は普段からよく嫉妬をしている。即ち、自分の力量の少なさを感じ、向上しようとしている。そんな貴方には『発展途上』の役割は適任だと思ったの」

 

平等院「は、はあ…」

 

Caine「本当は、このメンバーの中では最大の欠陥なんだけどね、貴方。

でも、物事は完成した瞬間から崩壊が始まるって言うし、不完全な方が良いでしょう?日光東照宮とかもそうなってるし。」

 

平等院「なんかすごく侮辱されてる気がするんですが…」

 

Caine「まあまあ。

じゃあ、次は、そこの貴方。

 

榊原「私ですか?」

 

Caine「そう、貴方。

貴方には『定規(Measure)』の役割を与えるよ。」

 

榊原「と、言うと?」

 

Caine「貴方の価値観考え方が、このPの楽園においては『定規』となる、と言うことだよ。”Man is the measure”、人間は万物の尺度、と言うでしょう?貴方はMeasureになるんだよ」

 

榊原「そんな、恐れ多い」

 

Caine「いいんだよ。貴方を選んだ理由は、貴方の考え方を私が気に入ったから。貴方のMeasureでなら、楽しくやってけると思ったからだよ。」

 

榊原「それは有り難き幸せにございます」

 

Caine「それで、貴方には書記係をやってもらいます」

 

榊原「書記係?」

 

Caine「そう。ここ、Pの楽園で起きた出来事を、現世の人間に文書に残して記録して欲しいんだ。

ただ、本名は出さなくて良いよ。そうだなあ…私の旧友の名前をリスペクトして、私達の名前を、”A”とか”B”とか”C”みたいに表現して記録してくれる?」

 

榊原「ははあ……頑張ってみます」

 

Caine「うん、がんばれ♡

誇っていいよ、どっかの国では書記が一番偉いらしいしね」

 

平等院「あの書記は少し意味合いが違うような…」

 

Caine「さて、最後に、そこの貴方。」

 

美月「…私?」

 

Caine「そう、貴方。

貴方には『理想(Ideal)』の役割を与えるよ」

 

美月「…理想。」

 

Caine「そう、理想。貴方はなんだか色々と理想を目指してるみたいだし、理想的な側面もあるから、理想の役割に適していると思ったの」

 

美月「理想的な…側面?」

 

Caine「そう。理想を持つことって大事だからね。まあ、理想に固執することも危険なのだけど…適度なら必要なものだよ」

 

美月「私が…理想…」

 

Caine「そ。がんばってね!

あ、ちなみに私達の役割も紹介しとくね。

私の役割は『結合(Unite)』、で、そちらの」

 

窒素「そーなのかー」

 

Caine「窒素の役割は、『対象(Object)』だよ。

で、風の役割は、『年回(Annual)』だね」

 

風「…にゃ」

 

美月「…にゃ?」

 

榊原「なるほどね。それで、私達は具体的に何をすればいいのかな?」

 

Caine「うーん、年越しの瞬間に森羅万象を退避させるから、その時に自分の持ち場にいてくれれば良いよ。細かい指示は持ち場でされるかもしれないけど」

 

榊原「なるほど…」

 

Caine「おっと、もうすぐ年が変わるね。じゃあ、『指示出し』をするから、皆自分の持ち場についてね。

あ、この指示出しだけど、次回からは基本的に榊原がやってね」

 

榊原「えっ、まじですか」

 

Caine「うん、まじ。

ではみんな、そろそろ2005年が終了し、2006年が始動します。各自、2005年のデータの退避の準備、2005年から2006年への変更に際する森羅万象の初期化と再構築の準備を開始して下さい。それが済んだら、待機姿勢に移行して下さい。」

 

 

 

 

「それじゃあみんな、さよなら」

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A「あの時が、私達が初めて会った時だったんだよね、懐かしいなあ」

 

S「そうだね。なんだか私に書記係とか指示出し任されちゃったし、リーダー役任されたみたいで荷が重かったなあ」

 

A「でも立派にやってたじゃない。

本当に立派なリーダーで、立派な定規だったと思うよ、ちょっと立派すぎたくらい」

 

S「それにしても、かなり突然のことだったろうに、皆良く受け入れられたよね、私も含めて」

 

A「いやーだってそれは私達みんな修行が足りてるからさ。修行が足りてない人とは違うんだよ」

 

S「はは。なるほどね」

 

A「それじゃあ、話を続けようか」

 

『ーーー間も無く、高崎、高崎、です』

 

 

 

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H「へえ、そんなことがあったんですか」

 

B「幸福ですううううううううう!!!」

 

C「2500年の演習を続けて来た武門の家柄は、寄せ集めの軍とは違うのだ!」

 

R「そうなんだよ、このメンバー集めるの結構苦労したんだからね」

 

H「私、つくづく、皆さんのこと知らなかったんだなあ…って思ってます…にゃ」

 

R「新入りだからね、仕方ないよ。でも、我々は全てを受け容れるからね、新入りでも親切に受け容れるのが我々の定規の方針だよ」

 

B「幸福です!、!!!!!^_^!」

 

H「そうなんですか…それはありがとうございます…にゃ」

 

R「…にゃ?貴方、さっきからその『にゃ』っての何かしら?」

 

H「にゃ?…えっ、あっ、なんだろう、急に、何故か言っちゃう…にゃ…///」

 

R「うーん?どう言う訳かしらね」

 

H「にゃあ…///」

 

R「まあいいわ。じゃあ、話を続けましょうか」

 

 

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続きはこちら:あたり日記:2006年1月1日 - folicのブログ

あたり日記:2005年11月21日

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《あたり日記〜理想的になっちゃう話〜》

 

 

【2005年11月21日(月)】

 

??「う〜〜、チコクチコク」

 

今、校門を求めて全力疾走している私は小学校に通うごく一般的な小学四年生。強いて違うところをあげるとすれば『さとうとやくみ』でも『こいぬのしっぽ』でもないってことかナー

名前は 当 美月 (あたり みづき) 。

 

そんな訳で私の通う小学校である、「西尾久小学校」の校門にやって来たのだ。

 

 

美月「ちこくちこくー

急がなくっちゃ急がなくっちゃ」

ペロリン

 

先生「もーっ美月さん!遅刻はだめです!0点です!

今度から気をつけてくださいね

やいのやいのやいのやいのやいのやいの」プンプン

 

美月「ごめんなさ〜い」

 

やいのやいの言っちゃって

先生は知らないの

私がトイレに行ってたってね!

 

 

先生「266年には邪馬台国の台与が晋に遣使…」

 

私日本史嫌い

覚えることいっぱいで分んないもん

 

先生「コラッ落書きしないの!」ボス

 

HAHAHAHAH

 

先生「プンプン」

 

美月「えへへー…」

 

 

私の友達を紹介します

けーじはとても頭がいいです

学業も私より遥かに優秀だし、

背も高いし、

スポーツも大体よくできるし、

見た目も結構かっこいいし、

実は結構すごい奴です

 

西春「お前何授業中に落書きしてんだよ…」

 

美月「だって日本史つまんないんだもん。過去の事件なんて興味ないよーだ」

 

西春「いや、過去の事を学ぶのも大切なことだと思うぞ?」

 

美月「私はそうは思わないね。過去のことに囚われてるから前進出来ないんだ」

 

西春「そうかな…」

 

二宮 西春 (にのみや にしはる) 君は私の同級生で、物心ついた時からの友人です。所謂幼馴染という奴です。家も近くて、互いの家族もなかなかの親交があります。

私は西春くんを「けーじ」って呼んでますが、いつからそう呼ぶようになったか、どうしてそう呼ぶようになったかは覚えていません。

本名とは全然関係ない呼びかたですけど、珍しくはないと思います。私の同級生には、苗字は「澤田」だけど「山下」と呼ばれている人もいます。

 

西春「ところでお前は一体何を落書きしていたんだ?」

 

美月「そうだ!暗号を考えついたんだよ。ちょっと解いてみてよ!」

 

西春「え?」

 

美月「これ!」

 

私はさっきの授業中に書いていた紙をけーじに見せてみた。

 

ーーー

48拗-4-11-19-7-10-144-7-0-80゛拗-4-22゛-7゛-240

2-19-促-56-12-136-56-208-2-2-0-7゛-240

ーーー

 

西春「………」

 

美月「どう?どう?」

 

…ちょっと考えてるみたい。解いてくれるかな?

 

西春「………………………んー?わからんなあ」

 

美月「そっかあ」

 

うーん、わからないかぁ。

 

西春「まあ考えとくよ」

 

美月「そっか。がんばってね!」

 

まあ、暫く考えてくれればきっと解いてくれるよね。

 

 

〜昼休み〜

 

美月「けーじ!ねーねー、わかった?わかった?」

 

西春「ん?いや〜、全然わからんな」

 

美月「そっか〜。う〜ん……」

 

美月「じゃあ、じゃあ、ヒントをあげよう!」

 

西春「あ、ああ。いいよ」

 

美月「この暗号は一つの整数で一つのひらがなをあらわしているよ。」

 

西春「ほう」

 

美月「そして、その手の暗号は大体母音と子音の組み合わせで出来てる。アイウエオの5つの母音と、アカサタナハマヤラワの10の子音だね。それらの組み合わせでこれらの整数が出来てるんだよ」

 

西春「あ、ああ?ああ」

 

美月「じゃあ、そこらへんを踏まえて。がんばってね!」

 

西春「お、おう、そうだな…」

 

 

〜放課後〜

 

美月「け〜じ〜、わかったー?」

 

そろそろ解いてくれないと困りますよ?

 

西春「いや、わからん」

 

美月「そっか…じゃあ、一緒に…」

 

西春「ごめん、今日はこの後用事があるんだ。じゃあな!」

 

美月「えっ…あっ…ああ…」

 

美月「…行っちゃった」

 

 

〜帰り道にて〜

 

美月「なんだもー…冷たいなぁ」

 

美月「まぁ…あの暗号が解けないのは仕方ないけど…」

 

美月「今日ぐらい一緒に帰ってくれても良いのにさ…」

 

美月「ああ…今日は用事があったんだっけ? ならそれも仕方ないか…」

 

美月「…一緒にお喋りしながら、ゆっくり歩いて帰りたかったなあ…」

 

美月「…もう家に着いちゃった」

 

美月「ただいまー…」

 

美月「………」

 

美月「…おかえりー」

 

美月「はぁ。パパもママもいないのかあ」

 

美月「妹の柚樹はまだ保育園だろうし…」

 

美月「…テーブルの上に置き手紙のようなものがある」

 

美月「『用事で出かけています。夕飯までには帰ってくるので、待ってて下さい。ママより』…」

 

美月「…みんないないのね。今日はみんなうちにいると思ったんだけど…」

 

美月「…私の部屋に行こうっと」

 

美月「……今日はもう疲れちゃったからベッドで寝てよう」

 

美月「……」ボフー

 

美月「……」

 

美月『|v|\|/ |31|2+#|)4¥』

 

美月(なんで?なんでみんな…)

 

美月(もしかして忘れちゃったの?)

 

美月『[()^/6|z^-|-(_)|_/\”|”3』

 

美月(もしかしても何も…そうとしか考えられない。みんな忘れちゃったんだ)

 

美月『Re;memberRe;memberRe;memberRe;memberRe;memberRe;memberRe;memberRe;memberRe;member』

 

美月(どうして?どうして忘れちゃったの?)

 

美月(みんな私のことが嫌いになっちゃったの?)

 

美月『HATE↗︎HATE↘︎↓』

 

美月(というか最初から私のことなんか嫌いだったの?)

 

美月(そうだもんね。私なんか、どんくさいし、どじばっかり。足もおそいし、スポーツもできないし、テストの点だって良くない。ぐずぐずして、みんなに迷惑をかけてばっかり。けーじとこんな私なんて一緒にいても釣り合わないよ。私はけーじみたいに、みんなと会話してて場を盛り上げるとか出来ないし。パパとママだって、私と一緒にいても楽しくないだろうな。いつも私をしかってばっかりで、ほめてくれる事なんてほとんどない。そんなにほめるところがないの?そんなに私にはいいところがないの?私なんて必要ないの?いなくていいの?そうだよね私がいなくなったってみんな困らないよね。私が死んだってみんな平気で生活を続けるんだ。パパやママなんてきっと喜ぶだろうな、養育費も面倒も治療費もかかる私がいなくなって。ママがいっつも言ってるもん、私の養育費がかさんで苦しいって。柚樹だっているし、きっと三人で幸せに生活できるよ。誰も私なんか必要じゃないんだ。私はいない方がいいんだ。私は今すぐに死ぬべきなんだ。誰も私が好きじゃないよ、みんな私がいなくていいって必要ないって

 

 

 

)ピンポーン

 

美月「……」

 

ピンポーン

 

美月「…誰?」

 

西春「おーい!美月ー!いるんだろ!?出てこい!」

 

美月「…けーじ!?」

 

私は部屋の窓を開けて道を見下ろす。

 

美月「けーじ!どうしたの!?」

 

西春「美月!早く降りて来い!行くぞ!」

 

美月「ええ!?どこに!?なんで!?」

 

西春「いいから!早く!先に行ってるぞ!」

 

そう言うとけーじは突然走りだしちゃった!

 

美月「えっ!?ちょっと!待ってよ!」

 

急いでパーカーを着て、階段を駆け降りて、玄関を押し開けて、素早く鍵を閉めて、けーじの後を追って行く。

けーじは私の前を走りながら、時々こちらを振り返っている。私がちゃんとついて来てるか見て加減してくれてるんだろう。けーじは50mを7秒台で走れるくらい足が早いし、それに比べて私は13秒以上かかるから、本気で競走なんかしたら絶対に追いつけないだろうなあ。相当加減してくれてるんだと思う。

私はけーじを見失わないように必死にけーじの後を追いかける。こっちは隅田川の方…かな…

 

〜隅田川土手〜

 

船方神社の境内を駆け抜けて、神社横の公園のアスレチックを通り抜ける。けーじはすいすいとアスレチックを通り抜けられるけど、私はだいぶ手間取った。アスレチックを抜けたところで、けーじは立ち止まってこっちに手を振った。

 

美月「はぁ…はぁ…ちょっと…」

 

西春「全く、ちょっとは運動しないと健康にも良くないぜ?」

 

美月「そ…それより!いきなりこんなところに…いったいどういうわけ?」

 

西春「まあまあ。いいから着いて来なよ」

 

美月「今日は…用事があったんじゃないの?学校終わったら急いでどっかに行ったよね?」

 

西春「ああ…まあそうなんだが。その事はごめんな、一緒に帰ってやれなくて」

 

美月「…用事は?大事な用事があったんじゃないの?こんなところで私と話してて、私に構ってていいの?」

 

西春「いいのいいの。いいから早く行くぞ、そこでみんなが」

 

美月「良くないよ‼︎そんな、大事な用事も放り出して、私なんかと、こんなところで、話してたらいけないよ!こんな、私なんかに構ってたら、けーじは、困ることになるよ!私なんかほっといて、けーじは、自分の、仕事を、」

 

西春「あー。面倒な奴だな。いいから早く行くぞ」

 

美月「あっ、ちょっと!」

 

けーじは私の左腕を掴むと、土手の方へ引っ張って行った。

 

美月「ちょっと!何するの!何処へ行くの!」

 

西春「みんなを待たせてるんだからあんまり時間を取られるわけにはいかないんでね」

 

美月「わかった!わかったから!引っ張んないで!」

 

 みんな?みんなって誰だろう?

 

西春「ほら、着いたぞ。挨拶しな」

 

美月「……!?」

 

私の、パパと、ママと、柚樹と、それから、けーじのお父さんと、お母さんがいた。桜の木の下にシートを敷いて、料理を並べて、これから花見でもするみたいな…。今は11月だから花なんか咲いてないのに。

どういうこと?

 

美月の母「…せーの」

 

 

 

皆「「Happy Birthday!!」」

 

 

 

美月「……え?」

 

美月の母「今日は美月の10歳の誕生日でしょ?初めて二桁になる歳だし、いつもと違う感じにしようと思って、お外でお料理を食べることにしたの」

 

西春の父「頑張って準備したんだぞう」

 

西春の母「あなた何もしてないじゃない」

 

西春の父「そうだったっけ」

 

西春「お前、自分の誕生日が忘れられてたと思ってただろう。あれだ。よくあるやつだ。

『驚かせようと思って黙ってました。ごめんね!』

っていう、あれ」

 

美月「……えっ」

 

美月の母「…さあさ、早くご飯食べちゃいましょう。

美月、お誕生日おめでとう」

 

柚樹「…おめでとう」

 

美月の父「おめでとう」

西春の父「おめでとー」

西春の母「お誕生日おめでと」

西春「誕生日おめでとう。」

 

美月「……そんな」

 

西春「暗くなる前に準備しなきゃいけなかったし、学校が終わったら急いで準備の手伝いしなきゃいけなかったから一緒に帰れなかったんだよ、ごめんな。暗号も解いてやれなくてごめんな、色々と忙しくて余裕が無くてな。また落ち着いたら考えてやるよ」

 

美月「……そう……なの……」

 

美月「……そう…」

 

美月「…みんな…」

 

 

 

美月「…ありがとう……ね」

 

西春「どう致しまして」

 

 

 

……ああ。

 

幸せだなあ。

 

 

ーーーーーーーーー

 

A「…っていう話だったの。結局、私は無駄に落ち込んだだけだったってわけ。フィクションでは良くある話だよね、良くありすぎて現実では珍しいくらい」

 

S「…まあ、そうだよね、ちょっとベタだわ」

 

A「まあ、結局けーじはあの暗号は解いてくれなかったんだけどね。結構考えてくれたみたいなんだけど、わからなかったみたい。そんなに難しくないと思うんだけどなー。」

 

S「うーん。何かね?やっぱこういう発想がないとわかってくれないのかね」

 

A「さあ、どうなんだろうねえ。一般の人の考えることはわからないや。

それにしても、あの頃は本当に幸せだったなあ。あの時のまま、ずっと過ごせたら、本当に良かったのだけど」

 

S「……」

 

A「…………」

 

S「……」

 

A「………さ、じゃあ続けようか。これじゃあただの私の昔話、自慢話だからね、みんなとの出会いの話に進もうか」

 

S「……ああ、そうだね」

 

S(…笑ってるけど、辛そうだなあ。よく見ると目が少しうるんでいる。苦しいだろうに、どうして昔の話をしようだなんて言い出したんだろう。

…こんなの、鏡で自分の嫌な姿を確認するようなもの…)

 

『ーーー間も無く、上毛高原上毛高原、です』

 

ーーーーーーーーー

 

続きはこちら:あたり日記:2005年12月31日 - folicのブログ

みずきの年回

【みずきの年回】

 

本日はみずきによる『終わりの見えない物語』におこし頂き、誠に有難う御座います。 

開演に先立ちまして、お客様に本公演をお楽しみいただくため、いくつかお願いがございます。

 

携帯電話や時計のアラームなど、音や光の出る電子機器は予め電源をお切りいただくようお願い申し上げます。マナーモードでのご使用もご遠慮下さいませ。

 

上演中の録画・録音・撮影は法により固く禁じられているわけでは特にありません。ご遠慮なさってもなさらなくてもご自由にどうぞ。

 

また、出演者に鏡を向ける等の、進行を妨げる行為はご遠慮頂くようお願い申し上げます。

 

以上の事をお守りになられないお客様には、ご退場いただく場合がございます。

 

公演予定時間は約5時間と予定しております。途中、休憩は御座いませんのでご注意ください。

 

それでは、まもなく開演いたします。

最後までどうぞごゆっくりとお楽しみください。

 

 

 

 

ほら、これを読んでいるそこの貴方。

公演中は携帯電話の電源をお切り下さい、と申し上げたでしょう?

早くその手に持っている携帯電話の電源をお切り下さい。

わかりましたか?

 

では、始まりますよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーKEEP OUTー

ーKEEP OUTー

ーKEEP OUTー

ーKEEP OUTー

ーKEEP OUTー

ーKEEP OUTー

ーKEEP OUTー

ーKEEP OUTー

ーKEEP OUTー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー花は

  はなは

 花は咲く

 

いつか 生まれる君(21〜)に

 

花は

はなは

花は咲く

 

私(20)は

何を

遺しただろう?

ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A「ふふ、今年もついに年末かあ…」

 

A「また今回もここで皆と一緒に年を越すんだよね、楽しみだなあ…」

 

A「えーと、322号室は…ここだね」

 

A「この部屋ももう毎度お馴染みだね。

この扉を開けたら、いつもの2人がいて、私を迎えてくれる。

私と一緒に過ごしてくれる。

私と楽しくお喋りしてくれる。

そうして暫くすると、他の4人もやってきて、

みんなで楽しく年を越すんだ。

今年も変わらずそれが始まる。変わらないことはすばらしい。なんてすばらしきこのせかい

それじゃあお邪魔しますかね」

 

コンコン ガチャ

 

A「こんばんはー!皆さん、いますかー?」

 

シーン

 

A「あれ?誰もいない…」

 

A「ちょっと早く来すぎたかね?」

 

A「………」

 

A「…ダレモイナイ…モサモサスルナラ イマノウチ」

 

A「あ ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるう」

 

A「それ るるいえ うがふなぐる ふたぐん」

 

A「Ia! Ia! Cthulhu fhtagn!」

 

S「アイエエエ!?モッサリ!?モッサリナンデ!?」

 

A「あれ!?いたの!?いつの間に背後に!?」

 

S「SANチェックに失敗。名状しがたい踊り<Sanity dance>を見てしまった私は1D10のSAN値を減らさなければならない。…げ、9も減らすのか…続いて<アイデア>ロール。…こちらも失敗。一時的狂気には陥らずに済んだ」

 

A「本当にごめんね…で、いつから背後に?」

 

S「『ふふ、今年もついに年末かあ…』の辺りから」

 

A「まことか!?忘れて下さい、まじで」

 

S「無 理 で す 。コンピュータ様ではないのでそう簡単に覚えた事を忘れられません」

 

A「ぬー、まあ仕方ない。ところで他の皆は?」

 

S「わからないのですよねー、私も貴方の背後を尾行して今来たところですし」

 

A「そうですか…」

 

S「おや?テーブルの上に何やら名状しがたい置き手紙のようなものがありますよ」

 

A「ほほう、どれどれ」

 

ーーー

 この部屋に来てしまった人達へ

 

 今まで、ここ、北緯36度59分1秒、東経138度49分13秒、標高296m付近のこの部屋を年越しの場としてきましたが、大人の事情により、この部屋を年越しの場として使用することは出来なくなりました。

 今年より、年越しの場は、北緯35度45分6秒、東経139度45分27秒、標高-4m付近になります。急いで向かってください。

 

親愛なる貴方の最高の友人、コンピュータ様より

ーーー

 

A「……」

 

S「……」

 

A「えっ」

 

A「どういうこと?」

 

A「意味がわかんないんだけど」

 

A「え?え?え?え?え?え?え?え?え?」

 

A「理解ができない」

 

S「…つまり、私達は急いでここを離れて、東京に向かわなければならないということです!行きますよ!」

 

A「えっ、ちょっと、意味が…」

 

S「今は…19時56分!0時になるまでにあちらに着かなければならない!時間がない、早く!行くよ!」ガチャッ

 

A「ああっ!待って!待ってよ!鍵とか閉めてかないでいいの!?」

 

バタン ガチャッ

 

 

 

Escape from the dreaming!

 

 

 

  *

 

ーーー都内某所にてーーー

 

R「市民、幸福は義務です。幸福なのは、義務なんです。幸せですか?義務ですよ?果たしてますか?」

 

H「はい!コンピュータ様!私は幸福です!疑い様もなく!」

 

C「2500年の演習を続けて来た武門の家柄は、寄せ集めの軍とは違うのだ!」

 

B「理解ができない。何の話してんの?」

 

R「おや?市民DEVELOPINGは幸福でないようですね。SSMの兆候が見られます。これは幸福薬の投与が必要ですね。Happiness Officer、お願いします」

 

H「はいはーい、お注射しましょうねー。

ちょっとくすぐったいですよ。何、痛みは一瞬です」

 

B「何だその怪しい注射器は!おい!刺すな!やめろ!やめろ!」

 

H「でも、幸福は義務だし…(´・ω・`)

 

B「幸福だから!幸福だから!幸福だなあ〜あ〜っはっはっはっはっ!」

 

H「そうですか…(´・ω・`)

 

C「2500年の演習を続けて来た武門の家柄は、寄せ集めの軍とは違うのだ!」

 

R「うむ、幸福そうで何よりです。

時に市民、ここに居ない2人、即ち市民MEASUREと市民IDEALはどうやら、前回までと同じ所へ行ってしまったようです。今頃私の書いた名状しがたい置き手紙のようなものを読み、急いでこちらに向かっていることでしょう」

 

H「正しい行き先に来ないなんて、完璧な市民にあるまじき行いです!きっと下劣な反逆者の手先に違いありません!次会ったら略式の処刑ですね!」

 

B「いやいや、事前連絡も無しにこっちに来いって方が無理があるでしょ。俺だってさっき、その…コンピュータ様?に偶然会わなかったらあっちに行ってたよ」

 

C「2500年の演習を続けて来た武門の家柄は、寄せ集めの軍とは違うのだ!」

 

R「まあ、処刑するかは後で考えるとして、とりあえず2人が来るまでのんびりまったり過ごしましょうか。

3*3の升目に○とXを交互に書いて縦か横か斜めに一列揃えるあれでもする?」

 

B「いや!やめよう!あれはつまらない!」

 

R「じゃあしりとりは?」

 

B「それもだめだ!」

 

 

A「はぁ…はぁ…ちょっと…速い…」

 

S「あっ!!」ピタッ

 

A「きゃん!」ドガッ

 

A「急に止まるな!後方不注意だぞ!」

 

S「勢いで飛び出したのは良かったけど、具体的にどうすればいいか考えてなかった」

 

A「勢いで飛び出したのもあまり良くなかったけどね。無計画に行動するなんていけないですよ?」

 

S「そうですね。私としたことが少し取り乱してしまったようです」

 

A「でも、本当にどうすればいいんだろう?いつもDeity-sized portalsでここまで来てたから、私達、この辺の土地勘ぜんぜん無いよね」

 

S「ふっふっふ、案ずることはない。私は今回、文明の利器、現代科学の粋を集めた、全人類の技術の結晶を持っているのだ」

 

A「お?何だ?」

 

S「それこそがこれ!これこそがそれ!その名も『スマートフォン』!!」

 

A「おおおー!何それ!」

 

S「これは私の新しい携帯電話さ。今までの前近代的な携帯電話とは違って、いろいろ便利な機能が備わっているのだよ」

 

A「へー!最近の携帯電話ってこんな形してるんだー」

 

S「早速、これで東京までの行き方を検索してみよう!」

 

A「わーい!やんややんや!!」

 

S「ふむふむ…なるほど」

 

S「ここから一番近い駅はJR石打駅。そこを21時07分に発車するJR上越線越後中里行きに乗ると、次の越後湯沢駅に21時14分に着くから、乗り換えて、21時39分に発車するMaxたにがわ430号にのれば、22時42分に大宮駅に着く。そのあとJR高崎線に乗れば、23時12分に尾久駅に着けるって寸法さ」

 

A「おおおー!すげー!さすがスマートフォン!」

 

S「さらに、ここから石打駅までの道のりも、Google Mapを使えば迷わず行けるぞ!」

 

A「すごいすごい!さすがスーパーコンピュータ!」

 

S「さ、早く行かないと21時07分に石打駅に間に合わない。その電車を逃したら次は一時間後だから逃すわけには行かないよ!今は…20時03分だからあと一時間くらい。ここから石打駅までは約3kmみたいだね、Google Mapによれば」

 

A「じゃあ急がないとね!さあ早く!行くよ!」

 

S「さっきまで辛そうにしてたくせに」

 

 

R「硫酸」

 

B「ンゴロンゴロ山」

 

R「マンション」

 

B「ンガウンデレ」

 

R「レントゲン」

 

B「ングニ諸族」

 

R「クエン酸

 

B「ンサワム」

 

R「むーん」

 

B「ンジャジジャ島」

 

R「うーん」

 

B「ンザイパン国立公園

 

R「ン・ガイ」

 

B「……」

 

R「?」

 

B「あー!結局しりとりをしてしまった!絶対にしまいと心に決めていたのに!」

 

R「別に良いじゃない、減るもんでもないし」

 

B「つまらない!つまらなすぎる!つまらなすぎて死ぬ!死んでしまう!」

 

H「あれ?幸福じゃないの?(((o(*゚▽゚*)o)))お薬かな?お薬かな?」

 

B「いや!幸福だよ!実に!でも他の遊びの方がいいかな〜!」

 

H「そうですか…(´・ω・`)

 

C「2500年の演習を続けて来た武門の家柄は、寄せ集めの軍とは違うのだ!」

 

R「ほう?他の遊びがしたいと?じゃあ3*3の升目に○とXを交互に書いて縦か横か斜めに一列揃えるあれをやるしかないかな!」

 

B「やらんぞ!絶対にやらんぞ!今度こそ!」

 

 

A「……」タッタッタッ

 

S「……」タッタッタッ

 

A「いやー、夜の街を走るのは気持ちがいいねぇ!君もそう思わないかね?」

 

S「喋ると体力使うよ。走るのに集中したまえ」

 

A「はーい…」

 

S「……」タッタッタッ

 

A「……」タッタッタッ

 

S「あっ!!」ピタッ

 

A「ひゃん!」ドベッ

 

A「急に止まるな!後方不注意だぞ!リターンズ!」

 

S「そういえば交通費のこと全然考えてなかった!今お金いくら持ってる?」

 

A「無一文の着の身着のままですけど」

 

S「貴様ーーー!」

 

A「てへぺろ♪」

 

S「私は運良く一万円札を一枚だけ持っていたが…Yahoo!路線情報によると運賃は6260円。二人で12520円!足りないじゃん!どうすんのさ!」

 

A「…確かに」

 

S「まずいよこれは!頑張って越後湯沢駅まで徒歩で行ったって上越新幹線で10000オーバーは確実だし、新幹線を使わないで行ったら今日中には絶対に辿り着けない!万事休す!あああああああああ!」

 

A「…あー……でも」

 

S「あさみやらはさあたまゆなかさらやまにかたまやら」

 

A「ねえ、ちょっと……あの、あの」くいくい

 

S「かはやまらやまたあ……何でしょう?」

 

A「私の運賃は半額で大丈夫だよ?

だから私の分は3130円で、貴方の分の6260円と合わせても9390円だから、10000円にちゃんと収まるよ」

 

S「…ああ…そういえばそうだったね。なら大丈夫か」

 

A「すごいでしょう!感謝しなさい!えっへん!」

 

S「あくまで、お金を持っているのは私であり、貴方は無一文の着の身着のままである、ということを忘れないで欲しい!」

 

A「はいはい。ゴメンネ!」

 

A「あ、もし良ければ私が荷物になろうか?それなら私の運賃は全くかからないよね!なんならペット扱いでもいいよ?」

 

S「馬鹿なこと言ってないで、先を急ぎますよ」

 

A「はーい…」

 

S「……」タッタッタッ

 

A「……」タッタッタッ

 

S「あっ!!」ピタッ

 

A「にゃん!」ドフッ

 

A「後方不注意だと!何度!言えば!」

 

S「貴方がいっつもいっつも私の真後ろを走ってるのが悪いと思う!」

 

A「Exactly.それで、今度は何?」

 

S「いや、今の時刻と駅までの距離を鑑みるに、もう走らなくて大丈夫かなと」

 

A「ハッピー!実は走るのしんどかったんですよ」

 

S「そ、そうでしたか」

 

A「じゃあ、ゆっくり歩いて行こうか。今度はお喋りもしながら、ね!」

 

S「そうですね」

 

 

R「じゃあ私から始めるよー」

 

 | |

ー+ー+ー

 |○|

ー+ー+ー

 | |

 

R「はいどうぞ」

 

B「どうも」

 

 | |

ー+ー+ー

 |○|X

ー+ー+ー

 | |

 

B「じゃあこれで」

 

R「うーん」

 

 | |

ー+ー+ー

 |○|X

ー+ー+ー

 |○|

 

R「じゃあここで」

 

B「どうしようかなー」

 

 | |X

ー+ー+ー

 |○|X

ー+ー+ー

 |○|

 

B「ここで行きましょう」

 

R「なかなかやりますね」

 

○| |X

ー+ー+ー

 |○|X

ー+ー+ー

 |○|

 

R「これでどうかな?」

 

B「くっ、もしかしてミスったか?」

 

○|X|X

ー+ー+ー

 |○|X

ー+ー+ー

 |○|

 

B「ここにしよう…」

 

R「ふん、無駄な悪あがきはよしたまえ。見苦しいぞ?」

 

○|X|X

ー+ー+ー

 |○|X

ー+ー+ー

○|○|

 

R「ふははははは、よもや我の勝利は目前だ!2年弱前の雪辱を果たす時は近い!」

 

B「くっ…!どうしたらいい?

圧倒的不利なこの状況…この状況を打開するための一手…!」

 

R「無駄だよ無駄!よもや貴様に明日など存在しない!大人しくやられるがいいさ!ヒャヒャヒャヒャ!」

 

R「唱えなっ!念仏!」

 

B「ぐっ…! ぐっ…!」

 

 ざわ・・・

       ざわ・・・

 

B「…!」

 

B「見えたァッ!水の一滴!」

 

○|X|X

ー+ー+ー

 |○|X

ー+ー+ー

○|○|X

 

一 列 成 立

 

B「やった…!」

 

完 全 勝 利 !!

 

R「な…なんだとおッ!」

 

R「おおおヲヲおおおおおおヲヲヲおお

おヲヲヲおおおヲヲヲヲヲおおおお

マタシテモ‥‥ワガハイニ‥‥

‥‥タテツクトハ‥‥‥‥」

 

B「やはり‥‥あなたが‥‥!」

 

R「‥‥親子そろって‥‥

目ざわりなヤツらだ‥‥

‥‥この手で葬ってやるうぅぅ‥‥

死刑台に送ってやるぞおぉぉ‥‥」ガンガンガンガン

 

B「……はい」

 

R「はい」

 

B「茶番お疲れ様でした」

 

R「お疲れ様でした」

 

B「……」

 

R「?」

 

B「あああー!またもややってしまった!今度こそ絶対にしまいと再び心に決めていたのに!」

 

R「別に良いじゃない、減るもんじゃないし」

 

B「つまらない!つまらなすぎる!つまらなすぎて死ぬ!死んでしまう!」

 

C「2500年の演習を続けて来た武門の家柄は、寄せ集めの軍とは違うのだ!」

 

B「あああああああああーー何故だーー何故またやってしまったんだーー」

 

H「……」

 

H「……♪」

 

B「一体何故!?ナンデ!?あれほど固く心に誓ったのに!」

 

H「……♪」デンデンデンデン

 

B「何故やってしまったんだ!そうか!月だ!月のせいだ!」

 

H「……♪」デンデンデンデン

 

B「月から大量に満月光線がビシビシと降り注ぎ、精神を狂わせてしまったのだ!なんということだーーー!!」

 

H「えいっ♪」プスッ

 

B「ほへ」

 

H「幸福ではなさそうでしたので、お注射しておきました!」

 

R「あー…ついにやったか…」

 

H「え?」

 

C「2500年の演習を続けて来た武門の家柄は、寄せ集めの軍とは違うのだ!」

 

B「こ……」

 

H「こ?」

 

R「ろじー?」

 

B「幸福ですぅぅぅぅぅ!」

 

H「うわっ」

 

B「幸福です!幸福です!」

 

H「……」(こ、こんなに効くんだ…)

 

B「幸福です幸福です幸福です!」

 

R「このクローンはもう駄目ですねー」

 

C「2500年の演習を続けて来た武門の家柄は、寄せ集めの軍とは違うのだ!」

 

H「ど、どういう事ですか?」

 

R「いや、幸福薬はあくまで場を盛り上げる為の小道具として用意したのだけど、まさか本当に使われるとは思わなかった」

 

H「そ、そうだったのですか」

 

R「あまりに貴方が楽しそうにしてたので、水は差さないことにしてたけど」

 

H「そうでしたか…ごめんなさい」

 

R「いや、まあ、あっちが幸福そうにしてないのが大体悪いのだし、気にすることはないよ」

 

B「幸福です幸福です、幸福です!」

 

C「2500年の演習を続けて来た武門の家柄は、寄せ集めの軍とは違うのだ!」

 

 

S「お、駅が見えて来たよ」

 

A「時間は?」

 

S「21時丁度だね、大丈夫だ」

 

A「じゃあ早速乗るよ!切符買うの頑張って下さい、お願いします」

 

S「わかったよ…ちょっと待っててね」

 

A「………」

 

S「おまたし」

 

A「早くない?」

 

S「新幹線の切符は越後湯沢で買うからね」

 

A「そうか」

 

S「そうだ」

 

A「ところでここに飾ってある蜂の巣はなんなんだろう…」

 

S「…………確か……昔この駅に発生した蜂の巣を駆除した時に、それを飾った……んじゃなかったかな……」

 

A「え?知ってるの?」

 

S「うん…なんか、すごく昔にここに来たことがある…ような気がする」

 

A「?そうなんだ…まあいいや、早くホームに行こう」

 

ガーーー プシュー

 

S「電車だ。乗ろう」

 

A「そうだね」

 

バタン

 

S「これに乗って7分待つと越後湯沢だよ」

 

A「短いね」

 

S「一駅だしね。でも歩いたら2時間くらいかかる距離だよ」

 

A「電車ってすごいね…」

 

S「でも、昔、上野駅から尾久駅に行こうとした時に、『一駅だから徒歩でも余裕でしょー』と思って徒歩で行こうとしたら酷い目にあったよ。かれこれ三時間くらい歩いたんじゃなかろうか。当時はスマートフォンとか持ってなかったしね」

 

A「一駅と言っても舐めちゃいけないという事だね…」

 

S「そういう事です。あ、そんな事話してる間に越後湯沢だよ。降りよう」

 

A「案外早かったね」

 

S「やっぱ電車はすごいよ。じゃ、新幹線の切符買って来るから待ってて」

 

A「はーい」

 

S「お待たせ」

 

A「早いね」

 

S「そう?普通だったよ。というか切符買うのにそんなに時間かけてもしょうがないじゃん」

 

A「まあ、そうか」

 

S「じゃあ乗ろうか。11番線だね」

 

A「ほーい」

 

S「今は21時17分。発車は21時39分だから、まだ発車まで時間があるね」

 

A「そういえばこの新幹線はこの駅が始発なんだね」

 

S「そうだね。20分ほどのんびりまったり待っていようか」

 

A「………」

 

S「………」

 

A「…そ、そういえばさ」

 

S「ん?なんだい」

 

A「携帯電話新しくしたんだよね」

 

S「ああ、その話ね」

 

A「前の携帯電話はどうしたの?」

 

S「家で充電器に繋いだまま安置してあるよ。なんか充電器外すとすぐに電池無くなっちゃうんだよねぇ」

 

A「そ、そっか。それにしても貴方が携帯電話を新しくするなんてね」

 

S「うん。はじめは使い慣れた携帯電話を手放す事に抵抗があったんだけど、新しいのを使い始めたらあまりに便利すぎて抵抗は吹き飛びました」

 

A「そうか」

 

S「そうだ」

 

A「………そうか、そうだよね。貴方もなんだかんだ言ってもクローンナンバー20だもんね。次に来るのは21だもんね。携帯電話も新しくなるよね。」

 

S「そういえば私と貴方のクローンナンバーって約一年前に盛大に一つ数え間違えられてたよね」

 

A「それは貴方自身でも気付いてなかったじゃないですか」

 

S「ははは、まあそうなんだけど」

 

A「まあ、私自身も気付いてなかったんですけどね」

 

S「ははは」

 

A「ははは」

 

A「………」

 

S「………」

 

S(こやつが自分からこんな話をするなんて…ちょっと変だね。どうかしたのかな?まあ、どうかしてるんだろうけど)

 

 

B「幸福です!幸福です幸福です幸福です、幸福です?」

 

C「2500年の演習を続けて来た武門の家柄は、寄せ集めの軍とは違うのだ!」

 

B「幸福ですうううぅぅぅ!幸福です幸福です、幸福です!幸福です!幸福です!」

 

C「2500年の演習を続けて来た武門の家柄は、寄せ集めの軍とは違うのだ!」

 

B「幸福です、幸福です!幸福です幸福です幸福です幸福です幸福です!幸福です幸福ですうううううぅぅぅぅ!」

 

R「うーむ、これが俗に言う幸福語というものか…」

 

B「幸福です?幸福です!幸福です幸福です幸福です幸福です、幸福ですううぅぅぅ幸福です幸福です!幸福です、幸福です、幸福幸福幸福幸福幸福幸福幸福幸福幸福です!」

 

C「2500年の演習を続けて来た武門の家柄は、寄せ集めの軍とは違うのだ!」

 

B「幸福です!」

 

H「あの二人、なんだか楽しそうですね…」

 

R「ちょっと、混沌とした様相を呈しているね…」

 

H「あうぅ…」

 

R「うーん、まともに話せるのが私達しかいない。ちょっと暇つぶしの手段がなくなってしまったなあ…」

 

H「あ、あの」

 

R「ん?なんだい」

 

H「もし、暇でしたら、『昔のこと』を話していただけませんか?」

 

R「『昔のこと』?」

 

H「はい。私がこの集まりに来る前にあったこと、はじめて皆が出会う前のこと、出会ってからのこと。私しか話し相手がいないのなら、私はそんな話が聴きたいです」

 

R「なるほどね、貴方は新入りだから、他の人達の会話を遮って、自分の言いたいことを言う勇気はなかった訳だ。

だから(実質)2人しかいない今、それを切り出したと。そういう訳だね?」

 

H「まあ、多分、そういう訳です。と言う訳で、お願いできますか?」

 

R「まあ、暇だし、まだ二時間くらい時間があるし、

良いでしょう。

教えてあげます。

みんなが気になっていること、

疑問に思ってること、

全部、

教えてあげます。

この集まりの皆に何があったのか、ほとんど全部、最初から。

始まりの物語を、聞かせてあげましょう」

 

 

S「……21時36分41秒……」

 

A「何空を見ながら呟いてんの?気持ち悪いよ」

 

S「それね」

 

A「別に私達はオカルトサークルの墓荒しの2人組じゃないんだから、そんなこと言わなくてもいいんだよ」

 

S「それね」

 

A「………」

 

S「………」

 

A「………」

 

S「21時39分ジャスト!」

 

テケリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ

 

A「発車ベルだ…」

 

S「ドアが閉まるよ!」

 

バタン

 

A「列車が動き出すね…」

 

ゴーーー

 

 

▼ぼうけんの はじまりだ

 

 

A「…この新幹線にはどのくらい乗ってるの?」

 

S「22:42までかな。一時間ちょいあるね」

 

A「そっか…」

 

S「………」

 

A「………な、なんか、出発してからずっとトンネルの中だね?」

 

S「別に車窓にバーチャル映像が映ったりはしないよ?」

 

A「それはそうだけど…」

 

S「このトンネルは大清水トンネル新潟県群馬県の県境に位置する、全長22.221kmのトンネルだよ。大沈みトンネルじゃないよ。1979年の開通当時はスイス国鉄のシンプロントンネルを抜いて世界一の長さのトンネルだった。その後は1983年の青函トンネル開通まで、山岳用トンネルとしては2000年の東北新幹線岩手一戸トンネル開通まで世界一の長さだったよ」

 

A「へー、よく知ってるね」

 

S「まあ、今wikipediaで調べたんだけどね」

 

A「ずこー」

 

S「wikipediaは偉大だね」

 

A「だねー」

 

S「ついでに、それを見られるスマートフォンも偉大だね」

 

A「ああ…」

 

S「………」

 

A「………」

 

A「ねえ、今までいろいろな事があったよね」

 

S「そ、そうだけど。どうしたの突然」

 

A「ねえ、ちょっとさ。『昔の話』をしてみない?」

 

S「『昔の話』?」

 

A「そう。

私達が今までに辿った軌跡。

終わりの見えない物語。

一番最初の時に始まり、

やがて永遠になる物語。

一時間も時間があるのなら、貴方と一緒に、そういう話を、私はしたいな」

 

S「………そんな話しちゃって良いんですか?貴方自身が一番忌避してた話じゃないですか」

 

A「大丈夫。だってここは三国山脈の下を貫く、全長22.221kmの巨大トンネルの中だよ?ここでどんな叛逆的な話をしたって、お天道様には聞こえやしないよ」

 

S「そう…なら良いんじゃない?」

 

S(やっぱり変だ。あれだけ忌避していた昔の話を、自分からしようとするなんて…)

 

S(まあ、こやつにも思う所があるのだろう。付き合ってあげるとしようか)

 

A「じゃあ、始めようか。

見しにもあらず聞きしにもあらず、

いにしえの儚き物語、

あだなる筆の跡に御心を乱されける、

夢のようなあのお話を…」

 

 

 

ーーー

 

《あたり日記〜理想的になっちゃう話〜》

 

 

〜つづく〜

 

続きはこちら:あたり日記:2005年11月21日 - folicのブログ

みずきの進行

※「みずきの発達」を先に読んで下さい









C「2500年の演習を続けてきた武門の家柄は、寄せ集めの軍とは違うのだ!」
B「まあまあ、その辺にしておきませう。そういえば」
S「はい何でしょう」
B「貴方さっき九輪水煙だの四方四季だの言っていましたが…何というか…」
R「あんたヌーメロロジーにでもはまってんの?」
S「なんかヌーメロロジーって格好いい響きだね」
R「で、はまってんの?」
S「そうですね。ではそこのあなた」
A「はい」
S「適当に二桁の自然数を言ってみて下さい」
A「えーと、じゃあ、23!」
S「23!恐ろしい…なんと恐ろしい数字を選んでしまうんだ!」
B「そんなに恐ろしい数字なのか?」
S「恐ろしいも恐ろしい!23は運勢を代替する数であり、不和の女神エリスに捧げられた数字であり、明白に奇怪な数である!23は特に災害に関して大きな重要性を持つ。クラークと言う名前のフェリーの船長は23年間に渡り同じ航路を無事故で辿っていた、と、ある日の会見で主張したが、まさにその会見の日にそのフェリーは沈没した。その後、ニューヨーク・マイアミ航路上の23便の墜落事故が起き、そのパイロットの名前もクラークだった。他にも人間は子供のDNAに23本の染色体を寄与するし、2012年12月23日はマヤ暦最後の日付だし、ユリウス・カエサルは23回突き刺されて暗殺されたし、2÷3=0.666…となり、666は悪魔の数字として知られている。他にも例を上げればキリがない!これらの事は23エニグマと呼ばれている。詳しくはWikipediaとかで23エニグマを調べてみて下さい」
H「ふーん…」
A「へー…」
R「そういうの牽強付会ってんじゃないの」
C「2500年の演習を続けてきた武門の家柄は、寄せ集めの軍とは違うのだ!」
B「まあまあ、その辺にしておきませう。ところで、去年は日付変更線が正月になってから地球全体が正月になるまでに24時間かかるからって年越しにやたら時間がかかつてたけど今年はそんなことはなかったね。何故?」
R「ああ、それね、めんどくさいからやめた」
B「え!?そんな適当なもんなのですか?」
S「まあ、去年そいつが勝手に始めたことだし…正直どっちでもいい。それこそ牽強付会
R「てへぺろ
A「やんややんや!!」
C「2500年の演習を続けてきた武門の家柄は、寄せ集めの軍とは違うのだ!」
B「まあまあ、その辺にしておきませう。」
A「え?」
B「え?」
A「さっきまでみたいに新たな話題を提供してくれるんじゃないの?」
B「俺は話題提供屋さんではない!お前こそ何か提供出来ないのか」
A「えー、なんもないよ」
S「じゃあ、皆さん、今年はどのような一年になるとお思いで?」
R「暗い一年ね」
B「辛い一年さ」
C「2500年の演習を続けてきた武門の家柄は、寄せ集めの軍とは違うのだ!」
A「今までの人生が全部夢だったらいいのに」
S「みんな暗いな。そんなじゃあだめだ!…って、みんな去年言った事と変わらなくないか?」
A「変わらないことは良いことじゃないか」
A「ところで今年は辛酸を何mol生成したの?」
B「9793molって事で」
S「おっと復習だ。辛酸の化学式は何だったかな?」
B「KRaIだろ?そんな一年前のネタを引っ張り出して来るなよ」

S「じゃあちょっと長話が過ぎたしこの辺にしとくか、忙しいし」
A「そうだね、発達課題がんばれ」
A「それじゃあみんな、合唱お願いします。せーの」
S「ただいま」
HS「ただいま!」
B「ただいま」
RB「ただいま!」
R「楽しいことも、ありました」
H「つまんないことも、ありました」
B「一生懸命、働いた!」
S「私(1~18)に、ごくろうさん」
B「ただいま」
RB「ただいま!」
S「ただいま」
HS「ただいま!」
A「おかえりなさいって、聞こえても
聞こえなくても、構わない
ここに帰って、来れたから!」
S「私に、ごくろうさん」
皆「私に、ごくろうさん」
P「それじゃあみんな、さよなら」
R「Happy New Year.」
S「Happy New Year~」
H「Happy New Year♪」
B「Happy New Year…」
A「Happy New Year!!」
C「Happy New Year?」
P「Happy New Year―」









───君は気付いていたかな?
    ほんとのことなんて、
  いつも、
過去にしか、ない!

      未来や希望は全て、
    誰かが抱く
  遠い、庭の、
我が儘な物語

まだ誰も知らない───









「お疲れ様でした」
「お疲れ様でしたー」
「長話して本当にごめんなさい」
「本当に、空前絶後です」
「ははは」
「はははって、悪魔的な」
「*おおっと!!*失敬失敬」
にしてもまたあんたはクローンナンバーを一つ増やしおってからに
「いや、それが普通ですから。貴方のような理想的な人間はイレギュラーな例外なんですよ」
「そりゃどうも」
国際宇宙ステーションな特徴だって、貴方の他の多くの人は持ってないんですよ」
「まあ、そうでしょうね、はい」
「ところで、また何か歌を歌いませんか?合唱で」
「いいですね歌ですか、『となりのトトロとかいいんじゃないですか?」
「じゃああなたはそれを歌って下さい、私は『やさしさに包まれたなら』を歌います」
「え、一つの歌を合唱するんじゃないの」
「たまにはいいじゃないですか、こういうのはノリですよ」
「まあ、はい、わかりました」
「ではどうぞ」

「隣のトトロ、トトロ。」
「小さい頃は、」

「隣のトトロ、トトロ。」
「神様が居て、」

「森の中に、」
「不思議に夢を、」

「昔から住んでる。」
「叶えてくれた。」

「隣のトトロ、トトロ。」
「優しい気持ちで、」

「隣のトトロ、トトロ。」
「目覚めた朝は、」

「子供の時にだけ、」
「大人になっても、」

「貴方に訪れる…」
「奇蹟、は起こる、よ。」

「……」
「どうかしましたか?」
「…いや、不思議な出会い、ですね。」
「そうですね」
「…これからも、発達、がんばって下さい」
「…ええ、がんばっていきますよ」
「……」
「……」
「じゃ」
「じゃ」









A「静かに寄り添って、
何処にも行かないで、
窓辺で囀って、
何を無くしたって…」









丸い地球の水平線に
何かがきっと待っている
「苦しいこともあるだろさ」
「悲しいこともあるだろさ」

だけど僕ら(1~19)は
「だけど僕ら(1~19)は」

挫けない!
「挫けない!」

「泣くのは嫌だ、笑っちゃおう」
進め!








ひょっこりひょうたん島、」
ひょっこりひょうたん島、」
「ひょっこりひょうたんじ、」
「ま…」









補足

拙文をお読みいただきありがとうございました。
去年、一昨年、一昨々年、一昨々々年の年賀メールが欲しい方は遠慮なく仰ってください。迅速にお送り付け致します。
また、メールサイズが大きいため表示できませんとか表示されちゃってる方は遠慮なく仰ってください。迅速に分割してお送り付け致します。
あと、この年賀メールはいろんな歌の歌詞を抜粋しています。そこんとこ御了承下さい。
それではみなさん、

┬┴┬ ┌──┘
┴─┴ │
─┼─ ├─┬
┌│┐ │ │
┘│└ │ │


┘──┬──
 ┌─┼──
─┴─┼──
   │

    ┌──┐
┌─┐ │  │
│ │ ├──┤
├─┤ │  │
│ │ ├──┤
└─┘ │  │
    ┘  ┘

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│ ──┼──
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│   │
    ┘

   │
───┼───
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───┼───
   │
┌──┼──┐
│  │  │
└──┘
して、おめでとうございます。

みずきの発達

───僕のお母さんの
名前はコニャラ
だから僕の
名前は子コニャラ


今日も
明日も
一緒にい
たいんだ
遊んで、
食べて、
また、遊ぼう。

一緒にいよう。

───

─人─









A「は~い皆さん、年明けですよ~。大丈夫ですか~?」
B「大丈夫。」
R「大丈夫。」
H「大丈夫です。」
S「大丈夫ですよ。」
C「………」
A「…よーし、無事に年を変えられたね。」
B「ねえ、なんかさっきまで概念化してたやつが居るんだけど」
S「おはようございます!」
A「これはこれは、MEASURE-R-MIZ-19ではありませんか!心配したんですよ!」
S「御心配どうもありがとう、IDEAL-ERROR-MID-11。」
B「なんで突然現れたかって以前にさ、なんで居なかったのかも結局よくわからないんだけど」
S「良い質問ですね、DEVELOPING-R-IWB-25。それはですね、」
C「このターンXで、」
C「全てを破壊して、」
C「新 し い 時 代 を 始 め る ! !」
B「!」
S「!?」
C「2500年の演習を続けてきた武門の家柄は、寄せ集めの軍とは違うのだ!」
B「…!」
S「…まあいいや。私が何故居なかったか?それはですね、一つの大きな発達課題を今まさに乗り越えんとしていたからですよ
A「発達課題?」
S「そう、発達課題。ただの変化ではない、一つの大きな発達段階を卒業し、一つの大きな発達課題に立ち向かっての大きな変化。今までの変化よりも明らかに大きい変化に新しい私が私の所に再結合し、以前の私が衰え弱まり消滅する事が実行される。以前の私は九輪水煙と四方四季と二十四マスとその翌日から数えて十二番目の夜と十四万四千の標識を越えて行って、四六時中の楽園に至った。九字を切って十字を切って鎮宅七十二霊符を祭っていた姿が印象的だったね。まあそれはさておき、私はその発達課題に立ち向かっていたことにより、いつもとは違う状況にある違った存在だった。だからあの場に存在するわけには行かなかったし、あの場をいつもと同じ年越しの場とする事も出来なかった。」
R「zzzzzzzzz」
C「2500年の演習を続けてきた武門の家柄は、寄せ集めの軍とは違うのだ!」
A「話長いってさ」
H「九輪水煙って何ですか?四方四季って何ですか?」
B「多分空の上と海の底って意味だと思うよ」
R「え、そこをそう理解してるなんて!ひょっとして成長したんじゃないの」
B「お前寝てたんじゃないのか」
A「それより私は、今年の十二番目の夜はまだ五日後だ、ということが気になる」
B「きっと概念化しているからだよ」
S「ごめん、もう少し我慢していただけると幸い。実を言うと今の私もいつもとは違う状況にある違った存在であることには変わりないんだけど、見ての通り今はちゃんと私はこの場に存在しているし、この場をいつもと同じ年越しの場とする事も出来た。それは何故か。それは私が新たな発達段階に進んでしまうことにより、この異常事態が今回限りの事ではなくなってしまう可能性があるからだ。以前の状況にある私は二度と取り戻されないかもしれない。だとしたらこの異常事態を『いつものこと』にするしかなく、いつもと違った状況にある違った存在である私を以て、この場を新しい『いつもと同じ年越しの場』にするしかない。定則は定則だから守るし、定則を守ることによってこの場が『いつもと同じ年越しの場』になっちゃうんだけど、もしかしたらちょっくら違う物になっちゃうかもね」
A「そんな!死ぬよりは酷くないかも知れないけど、それはとっても寂しくて悲しいことだよ」
R「楽しくて正しい多数決?」
B「聞き違いだ」
A「みんなで決める、楽しいな」
S「みんなで決める、正しいな」
R「多数決!」
AS「多数決!」
R「多数決!」
AS「多数決!」
B「聞き違いだって」
R「お前本当に肉まんでいいんだな?」
S「…ああっ!(愕然)」
B「もういいって」
S「確かに寂しくて悲しいことかもしれないけど、それが私達の発達なんだよ。過去とは同じ状況に居れなくなる、それが発展途上(developing(6))な定規(measure(多義108))としての私達(1~19)の発達(development(6))で、この世界はそういう仕組み。それにさ、新しい発達段階に進むと言っても、もしかしたら今までと大して状況が変わらないかも知れないよ?少なくとも私はそうなるように少しばかりは努めるつもりだ。もしそうなったとしたら、こんな心配は全部杞憂で、この場を『いつもと同じ年越しの場』にしちゃったことも十二ヵ月後になってすごく幸せな結果に帰着すると思うよ」
A「不安だねえ」
S「そうでしょう、私も少しそうですが、本音を言うと今の私には発達課題がとても大事なので、その不安のような、そんな瑣末な事はどうでもよいのであった」
C「2500年の演習を続けてきた武門の家柄は、寄せ集めの軍とは違うのだ!」
A「まあでも、不安ながらもこの場を『いつもと同じ年越しの場』にした事は一理あるかな。今年が異常事態なのはしょうがないしね、これなら十二ヵ月後にも期待できる。これでこの場を『いつもと同じ年越しの場』にしなかったら、今回の年越しは世紀末的になって、十二ヵ月後には期待できなくなったでしょうね」
R「zzzzzzzzz」
B「zzzzzzzzz」
A「おーい、話終わったよ!」
B「ん!?ああ、いや、寝てないよ」
C「2500年の演習を続けてきた武門の家柄は、寄せ集めの軍とは違うのだ!」
S「こんな長話をしてしまっていいのだろうかと今になって不安になってきた」
A「空前絶後だよね」
S「いや、今までにもあったかもしれないしこの先もあるかもしれないよ」
A「全否定された」
S「いや、部分否定だ。『過去と未来のどちらかにない』ことを否定した、つまり部分的な事柄を否定したのだから、部分否定だ。『過去と未来のどちらにもない』ことを否定したんだったら全否定だ」
A「?そうなのか?」
R「いやまて、もしもそいつが『今までにもあったしこれからもある』と言ったのならそいつの言った事は正しいが、そいつは『今までにもあったかもしれないしこの先もあるかもしれない』と言ったのだ、これはそいつの言うところの全否定じゃないのか?
A「?そうなのか?」
C「2500年の演習を続けてきた武門の家柄は、寄せ集めの軍とは違うのだ!」
B「まあまあ、その辺にしておきませう。ところで貴方はさっきから何を読んでいるのですか?」
H「『お○○○○○○の○と○』の漫画版です。話が長くて暇なので読んでいました」
S「ああ、この間映画を見ました!面白かったですよ!」
R「ああ、所謂『F』だね!」
B「F?Fって何だ?」
H「凄まじい負のオーラを放っているあのF?」
A「toの前とか後についたりするあのF?」
S「赤いバットを持っていたりサンチャゴ巡礼体験記を書いたりするあのF?」

H「HHBの元気なあのF?」
A「ああ、BooleanなあのFか!」
S「ああなるほど!!」
C「2500年の演習を続けてきた武門の家柄は、寄せ集めの軍とは違うのだ!」
R「違う!『ファンタジー』を略して『F』だ!」
S「えー?」
A「略しすぎない?」
R「いや、『FINAL FANTASY』略して『FF』だし、『サイエンスフィクション』略して『SF』じゃん」
A「え!?『SF』って『すこしふしぎ』の略じゃないの!?」
H「そういえば『すこしふしぎ』の略も『SF』だよね」
A「え?」
H「?」
C「2500年の演習を続けてきた武門の家柄は、寄せ集めの軍とは違うのだ!」
B「まあまあ、その辺にしておきませう。SFもまた面白いよね」
A「SFも面白いけど、私はTSFの方が好きだなぁ」
H「TSFって何ですか」
R「あれじゃない、『テーブルトークサイエンスフィクション』の略じゃない?」
A「あんたそんな!なんでもかんでもテーブルトークを付ければいいなんてそんな!」
C「2500年の演習を続けてきた武門の家柄は、寄せ集めの軍とは違うのだ!」
B「まあまあ、その辺にしておきませう。そういえば…」

~つづく~

つづきはこちら:みずきの進行 - folicのブログ