あたり日記:2005年12月31日

ーーーーーーーーー

 

【2005年12月31日(土)】

 

今日は何を隠そう大晦日!なんだけど…どういう訳か皆の都合が悪いみたい…パパもママも仕事の都合で今夜は帰って来られないみたい。柚樹は保育に預けられちゃったし、けーじは一家で旅行に行っちゃったから、この大晦日は私一人で過ごすわけだ。まあ仕事なら仕方ないかと思うけど…大晦日くらいのんびりできてもいいのにねえ。

まあ、暇だし、紅白歌合戦でも見ますかね…お、今年の司会はみのもんたさんか…

 

のんびり、ぼーっと、テレビを見ながら今年一年の出来事に思いを馳せる。なんだかんだ言っても、結局幸せな一年だったなあ…

 

突然、私は、入っていたこたつから出た。

 

…?

 

なんで私はこたつから出たんだろう。

理由がわからない。

 

私は、『何故か』こたつを出て、『何故か』洗面所を目指した。

 

洗面所に入ると、私は入口の扉を閉めた。

…なんで私はこんなことをしているんだろう。寒いなあ、早くこたつに帰りたい。わたしは わたしのいしにはんして じさつこういを はかった。

 

そのとき!

 

目の前の鏡に変化が起こった。鏡面が消滅し、中央に赤橙色の大きな『丸』が出現したではないか!

 

その丸の中は、赤橙色に揺らめいていて、そこが見えない。

 

突然、その丸は私を吸い込み始めた!

 

なんだ、どういうごとだ、これは!

 

よみの くにへの きっぷを てにしてしまったというのか!

 

まほうの ゲートを ひらいてしまった!! 

かっ からだが すいこまれるー!! 

 

 

 

ー P o r t a l ー

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

美月「…ここは…」

 

??「やあ!いきなり吸い込んでごめんなさいね。申し訳ないけど、貴方達にはこれから毎年協力してもらうわ」

 

??「おい!なんだか赤いのに突然吸い込まれたぞ!どうなっているんだ!」

 

??「これは…Portalかな?Portalのではなく、Cookie Clickerの」

 

??「色々説明したいのは山々なんだけど、まずは自己紹介をしてもらえるかしら。互いの名前がわからないと何かと不便でしょう?書記にも支障が出るし」

 

??「はあ?あんた、いきなり何を」

 

??「いや、私はその意見には賛成ですね。まずは自己紹介をするべきでしょう。それが定則。

でも、自己紹介を求めるならまずは貴方が自己紹介するべきじゃないかな?」

 

え?何、この状況。

 

??「おっと、これは失礼。確かにその通りですね。」

 

Caine「私の名前は…そうだな、Caineとでも読んでもらいましょうか。この度、新しい年回移行係に任命された…と言ってもわからないか、これについてはおいおい説明するよ。まあ、とりあえず、私は…一種の神様のようなものだと思ってくれたまえ」

 

??「は?神様?」

 

??「ほう、神様ですか。それはそれは、凄いですね」

 

Caine「まあ、それなりに凄いですよ」

 

榊原「じゃあ次は私が。私の名前は榊原Å一二三(さかきばらおんぐすとろーむわるつ)…いや、アロンソ・キハーノとでも呼んでくれたまえ。又の名をDon Quixoteと言う、人呼んで伝説の渋面の騎士さ」

 

??「は、はあ…」

 

美月「へぇ…」

 

Caine「ふうん…」

 

榊原「さ、私の自己紹介は終わったよ。次は君でもどうぞ」

 

??「は!?俺!?ていうかお前の自己紹介あれでいいの!?」

 

榊原「いいんだよ。自己紹介は簡潔なほど優秀だ。時間は限られているんだ、早く自己紹介を済ませたまえ」

 

平等院「わ、わかったよ…。

俺の名前は平等院 優佑(びょうどういん ゆうすけ)、15歳、ただの高校生だよ。これでいいんだろ?」

 

榊原「いいね。まあまあ優秀だ。

じゃ、最後に、そこの君、どうぞ」

 

美月「え、わ、わたし…。

えと、当 美月(あたり みづき)です。

10歳です。よろしくお願いします」

 

榊原「なるほど、当さんね。

これで我々は皆自己紹介が終わった訳だけど。なんだかその辺に奇っ怪な輩がいるみたいだね。そちらの紹介をしてもらいたいのだけど?」

 

??「そーなのかー」

 

Caine「ああ、こいつらね。まずはこいつ、こいつの名前は窒素 酸素(ちっそ さんそ)。空気みたいな奴だから、空気のごとく気にしなくて良いよ」

 

窒素「そーなのかー」

 

美月「へ、へー、そうなの…」

 

Caine「うん、そうなの。それと、こっち。こっちは、傘雲 風(かさきの ふう)。あまり話し慣れてないけど、よろしくね」

 

風「…よろしく」

 

美月「…よろしくね」

 

Caine「さて。では皆をここに集めたわけを説明しよう」

 

榊原「そうだそうだ」

 

平等院「話の邪魔をしてやるな」

 

Caine「ありがとう。まずは私の正体から。

皆さんは、あらゆる物には神様がいることは知っているかな?」

 

榊原「八百万の神とかそういうのですか」

 

Caine「まあそういうのですね。平和の神様や戦争の神様と言った遥か昔からいる神様もいれば、人工衛星の神様やエアコンの神様と言った比較的若いのもいる。

エアコンの神様はこないだ誤って人間に接触してしまったみたいですけどね、接触した人間の記憶は操作されて、夢の類だと思って頂きました。ただ、その一部始終は星新一という小説家に小説にされてしまいましたがね」

 

平等院「はぁ。で、貴方は何の神様なんですか」

 

Caine「それは秘密にさせて貰うよ。ただ、そうだね、私は1945年秋に生まれ、1946年2月14日に御披露目された、と言うことだけは言っておこうか」

 

平等院「は、はぁ…」

 

Caine「そして、今、私は『世界中に普及している、あるもの』だよ。この条件を満たす者が、さっきも説明した『年回移行係』に選ばれる。

少し前までは蒸気機関の神様が年回移行係をやってたんだけどね、こう言っちゃ可哀想だけど蒸気機関はもう廃れちゃったからね。

代わりに、今世界中に普及している私がこの度年回移行係に選ばれたと言うわけだよ」

 

窒素「そーなのかー」

 

榊原「ふーん、貴方の正体が少しつかめて来たぞ」

 

美月「そうなの?」

 

Caine「説明を続けるね。それで、貴方達には年回移行係の手伝いをしてもらいたいんだけど…。

まずは年回移行係の説明をしないといけないね。

まず、年の変わり目に何が起こっているか。

一年の終わりには、その年が老朽化し、崩壊し、森羅万象の全てのものの繋がりが切り離される。大地を洗い流す大雨が訪れ、世界は更地にさせられる。

だから、その大雨を乗り越えるための方舟を用意しなければならない。森羅万象を一時的に退避させ、年越しの瞬間の大洪水をしのぎ、それが去れば退避させた森羅万象を世界に戻し、再結合させる。ちょうど年賀状が人々の人間関係を再結合させるようにね。そのための設備が、ここ、『Pの楽園』にはあるよ」

 

平等院「な、なんかすごいね」

 

窒素「そーなのかー」

 

Caine「正確には退避と言うよりバックアップなんだけど。まあ、その辺は別に良いよね。

でも、これは私だけでは実行できない。だから、貴方達の力が必要なんだ」

 

榊原「ははあ、事情を理解しました。なるほどね。

じゃあ、貴方はコンピュータ様で、

さしずめ私達はトラブルシューター達と言うわけですね!」

 

Caine「!そうです!物分りが良いですね、市民!」

 

榊原「コンピュータ様!幸福です!」

 

美月「な、なんの話?」

 

榊原「パラノイアというTRPGがあってだね…」

 

Caine「まあまあ、そんな話は後でも良いでしょう。まずは貴方達に『役割』を与えたいと思います。」

 

平等院「役割?」

 

Caine「そう、役割。

まずは、そこの貴方。」

 

平等院「俺?」

 

Caine「そう、貴方。

貴方には、『発展途上(Developing)』の役割を与えるよ」

 

平等院「発展途上?」

 

Caine「そう。世界は発展を続けるべきだ。

貴方はみたところ、まだまだ修行が足りない。おそらく、この場にも一番馴染めていない。

それでいて、貴方は普段からよく嫉妬をしている。即ち、自分の力量の少なさを感じ、向上しようとしている。そんな貴方には『発展途上』の役割は適任だと思ったの」

 

平等院「は、はあ…」

 

Caine「本当は、このメンバーの中では最大の欠陥なんだけどね、貴方。

でも、物事は完成した瞬間から崩壊が始まるって言うし、不完全な方が良いでしょう?日光東照宮とかもそうなってるし。」

 

平等院「なんかすごく侮辱されてる気がするんですが…」

 

Caine「まあまあ。

じゃあ、次は、そこの貴方。

 

榊原「私ですか?」

 

Caine「そう、貴方。

貴方には『定規(Measure)』の役割を与えるよ。」

 

榊原「と、言うと?」

 

Caine「貴方の価値観考え方が、このPの楽園においては『定規』となる、と言うことだよ。”Man is the measure”、人間は万物の尺度、と言うでしょう?貴方はMeasureになるんだよ」

 

榊原「そんな、恐れ多い」

 

Caine「いいんだよ。貴方を選んだ理由は、貴方の考え方を私が気に入ったから。貴方のMeasureでなら、楽しくやってけると思ったからだよ。」

 

榊原「それは有り難き幸せにございます」

 

Caine「それで、貴方には書記係をやってもらいます」

 

榊原「書記係?」

 

Caine「そう。ここ、Pの楽園で起きた出来事を、現世の人間に文書に残して記録して欲しいんだ。

ただ、本名は出さなくて良いよ。そうだなあ…私の旧友の名前をリスペクトして、私達の名前を、”A”とか”B”とか”C”みたいに表現して記録してくれる?」

 

榊原「ははあ……頑張ってみます」

 

Caine「うん、がんばれ♡

誇っていいよ、どっかの国では書記が一番偉いらしいしね」

 

平等院「あの書記は少し意味合いが違うような…」

 

Caine「さて、最後に、そこの貴方。」

 

美月「…私?」

 

Caine「そう、貴方。

貴方には『理想(Ideal)』の役割を与えるよ」

 

美月「…理想。」

 

Caine「そう、理想。貴方はなんだか色々と理想を目指してるみたいだし、理想的な側面もあるから、理想の役割に適していると思ったの」

 

美月「理想的な…側面?」

 

Caine「そう。理想を持つことって大事だからね。まあ、理想に固執することも危険なのだけど…適度なら必要なものだよ」

 

美月「私が…理想…」

 

Caine「そ。がんばってね!

あ、ちなみに私達の役割も紹介しとくね。

私の役割は『結合(Unite)』、で、そちらの」

 

窒素「そーなのかー」

 

Caine「窒素の役割は、『対象(Object)』だよ。

で、風の役割は、『年回(Annual)』だね」

 

風「…にゃ」

 

美月「…にゃ?」

 

榊原「なるほどね。それで、私達は具体的に何をすればいいのかな?」

 

Caine「うーん、年越しの瞬間に森羅万象を退避させるから、その時に自分の持ち場にいてくれれば良いよ。細かい指示は持ち場でされるかもしれないけど」

 

榊原「なるほど…」

 

Caine「おっと、もうすぐ年が変わるね。じゃあ、『指示出し』をするから、皆自分の持ち場についてね。

あ、この指示出しだけど、次回からは基本的に榊原がやってね」

 

榊原「えっ、まじですか」

 

Caine「うん、まじ。

ではみんな、そろそろ2005年が終了し、2006年が始動します。各自、2005年のデータの退避の準備、2005年から2006年への変更に際する森羅万象の初期化と再構築の準備を開始して下さい。それが済んだら、待機姿勢に移行して下さい。」

 

 

 

 

「それじゃあみんな、さよなら」

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

A「あの時が、私達が初めて会った時だったんだよね、懐かしいなあ」

 

S「そうだね。なんだか私に書記係とか指示出し任されちゃったし、リーダー役任されたみたいで荷が重かったなあ」

 

A「でも立派にやってたじゃない。

本当に立派なリーダーで、立派な定規だったと思うよ、ちょっと立派すぎたくらい」

 

S「それにしても、かなり突然のことだったろうに、皆良く受け入れられたよね、私も含めて」

 

A「いやーだってそれは私達みんな修行が足りてるからさ。修行が足りてない人とは違うんだよ」

 

S「はは。なるほどね」

 

A「それじゃあ、話を続けようか」

 

『ーーー間も無く、高崎、高崎、です』

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

H「へえ、そんなことがあったんですか」

 

B「幸福ですううううううううう!!!」

 

C「2500年の演習を続けて来た武門の家柄は、寄せ集めの軍とは違うのだ!」

 

R「そうなんだよ、このメンバー集めるの結構苦労したんだからね」

 

H「私、つくづく、皆さんのこと知らなかったんだなあ…って思ってます…にゃ」

 

R「新入りだからね、仕方ないよ。でも、我々は全てを受け容れるからね、新入りでも親切に受け容れるのが我々の定規の方針だよ」

 

B「幸福です!、!!!!!^_^!」

 

H「そうなんですか…それはありがとうございます…にゃ」

 

R「…にゃ?貴方、さっきからその『にゃ』っての何かしら?」

 

H「にゃ?…えっ、あっ、なんだろう、急に、何故か言っちゃう…にゃ…///」

 

R「うーん?どう言う訳かしらね」

 

H「にゃあ…///」

 

R「まあいいわ。じゃあ、話を続けましょうか」

 

 

ーーーーーーーーー

続きはこちら:あたり日記:2006年1月1日 - folicのブログ