みずきの黎明

※「みずきの一年」を先に読んで下さい









C「満小、始め!!」
S「そういえば辛酸の化学式って何だっけ」
A「KRaI、でしょ?今年は何mol生成したんだい?」
S「5358mol、ってことで」
B「ところで、辛酸って一体全体どんな化学的性質があるんだ?」
S「多分、K-とRaI+のイオン結晶だと思う。RaI+はRaの最外殻の二つの電子がI+の最外殻にうまく収まって結合してるのね」
A「辛酸って言うからにはやっぱり水に溶けて酸性を示したりするんでしょ?どんな感じよ」
S「多分水とは酸化還元反応をして酸性を示すんだと思う。
2KRaI+2H2O→2H++2I-+O2+2KH+2Ra
みたいなかんじかな」
A「おお、成る程」
S「ついでだからあれもやっとこう。皆さん、今年はどのような一年になるとお思いで?」
R「暗い一年ね」
B「辛い一年さ」
C「満点!!」
A「今までの人生が全部夢だったらいいのに」
S「みんな暗いな…ありがとうございました。」
B「これやんなくちゃいけないの?」
S「定則ですから」
H「あの」
A「何でしょう」
H「結局この集まりはどういうものなのですか?」
S「良い質問ですね」
R「この集まりはね、言ってしまえば、年賀状のようなものなのよ。私達は、年末になれば、『良いお年を』と言う別れの挨拶をする。これは、その別れが尋常な別れでは無いことを意味しているの」
S「そう、年が変わるのに伴って前の年のあらゆる物事は一旦リセットされ、初期化される。そこで、去年と同じお付きあいを続けていきましょう、ということで知人に年賀状を出し、人間関係に自分を再登録する。
A「しかしそれは人間関係に限った話。だから、前の一年が終了して切り離されてバラバラになった森羅万象を次の一年に結び付けるのがこの集まりの意味。いわば、世界から一年への年賀状を、我々は作成して提出しているのですよ」
H「へぇ、勉強になります」
S「そんなかんじで理解して頂けると助かります」
C「あと二分!!」
R「あら、そろそろ時間みたい」
S「今回は地球全体のために24時間以上かかったから夜明けが早いなー」
B「なんか前回までは毎回何処かしらで真面目な議論が入ったのに、今回はそういうのなかったな」
S「何を仰る、我々は何時だって真面目ですよ」
A「だから貴方はまたまだ修行が足りないんですよ」
B「すみません」
S「じゃあそろそろお別れしますか」
A「うぇひひ、今回も凄く楽しかったなー」

 
 
P「それじゃあみんな、さよなら」
R「Happy New Year.」
S「Happy New Year~」
H「Happy New Year♪」
B「Happy New Year…」
A「Happy New Year!!」
C「Happy New Year?」
P「Happy New Year―」









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じゃじゃあーん
じゃじゃあーん


















…で?









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───閉じていく思い出の
  その中にいつも
 忘れたくない
囁きを聴く

   粉々に砕かれた
  鏡の上にも
 新しい景色が
映される









鏡の破片に映った景色を観たいですか?
その中に映った自分を観たいですか?
鏡を壊したのは貴方だというのに。

【忘れたくないのに忘れてしまう
囁きだけなんて嫌です】

        ───









「今回もお疲れ様でしたー」
「お疲れ様でした」
「いやー窓付きカーテンが出現したときはなまらびびりましたよ」
「あー、すみません、忘れてました。私は鏡を見れるようになってから久しいもので…。次からは反射し難い窓を用意します」
「助かります。いやー本当に鏡を見るのが苦手なんですよ」
「心中お察し申し上げます」
「私の心はずっと昔からちゃんと静かなのに、世界がそれに応えるシステムじゃない。もともと思い通りになる世界じゃないけどさ」
「その気持ちは悲しい程わかります」
「でも貴方は鏡を見れる環境を手に入れたのでしょう?私から見れば理想ですよ」
「確かにそうですけどね。さっき貴方が言ったように世界がちゃんと応えるシステムじゃないんですよ。他の人がみんな私を置いていって仕舞うのです。普通の人として生活出来ないのは案外しんどいものですよ」
でも貴方はいつだって好きな時に普通の生活に戻れるじゃないですか。まあ、怖くて出来ないでしょうけど。私が同じ状況だったら怖くて出来ませんね」
「よくおわかりでいらっしゃる。まあ、でも貴方達とは例外的に普通に話が出来るのがかなりの救いですね
「ありがとうございます。他の人は普通に鏡が見られるんでしょうかね」
「だと思いますよ。私や貴方みたいな人種は、私みたいにならなければ鏡を見られませんけど、皆がそうと言うわけではないと思いますよ」
「やはりそうですよね」
「…私があいつに悪戯したのはいけなかったと思いますか?」
「私は咎めませんよ。貴方と同じ人種ですからね。ただ、他の人はどう思うか…」
「…そうですか」
「それじゃ、そろそろいかなければ」
「そうですね、それでは」
「……」
「…Freude trinken alle Wesen」
「an den Brusten der Natur,」
「alle Guten,」
「alle Bosen」
「「folgen ihrer Rosenspur!」」
「……」
「……」
「じゃ」
「じゃ」









どこかで、だれかが
あなたのために、
戦っています。
あなたがわたしを
忘れなければ、
わたしははいつでも、
あなたと一緒にいます。









補足

拙文をお読みいただきありがとうございました。
去年、一昨年、一昨々年の年賀メールが欲しい方は遠慮なく仰ってください。迅速にお送り付け致します。
また、メールサイズが大きいため表示できませんとか表示されちゃってる方は遠慮なく仰ってください。迅速に分割してお送り付け致します。
それではみなさん、

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まして、おめでとうございます。